一般社団法人薬機法医療法規格協会

肝パワー事件について、
弁護士である理事長が解説

2020.07.22

体験談は捏造でなくても違法となる可能性に十分ご注意ください。

令和2年7月20日、「肝パワーEプラス」の販売会社であるステラ漢方株式会社の社員、及び、広告会社の株式会社KMウェブコンサルティングの社長ら6名が逮捕されたとの報道がなされました。

報道を見る限りでは、いわゆる未承認医薬品を広告した罪(薬機法68条・85条)が被疑事実となっているようです。

だとすると、体験談は捏造ではなく、本物であっても成立する罪ですので、この点について簡単に解説いたします。

まず、体験談の捏造は、虚偽の内容で商品を販売するための広告ですから、景表法上の優良誤認や有利誤認、場合によっては刑法上の詐欺の問題となりますが、実は薬機法とは無関係です。

本事件で問題となったのは、未承認の医薬品を広告した罪です。

販売会社が健康食品として販売しているのに、なぜ医薬品になるのか?
と疑問に思われるかもしれませんが、ここでいわゆる効果効能の話が出てきます。

最高裁判例では、販売会社がその商品を健康食品やサプリとして販売していたとしても、「その物の成分、形状(剤型、容器、包装、意匠など)、名称、その物に表示された使用目的、効能効果、用法用量、販売の際の演述などを総合的に判断し、一般通常人の理解において、人または動物の疾病の診断、治療または予防に使用されるものと認識され、または薬効があると標榜した場合」には、薬機法上は医薬品とみなすものとされているのです(つかれず粒事件判例/最判昭和57年9月28日)。

これを「肝パワーEプラス」について当てはめてみると、

成分はにんにくや牡蠣のエキスとなっていることからすると、医薬品らしさはありませんが、「肝パワー」という名称からすると、人の肝臓疾患の治療や予防に使用されるものであるとも思えますし、形状はソフトカプセルのようですので、どちらかというと医薬品的である、
そして極めつけに、体験談等で効能効果の標榜があり、これらを総合すると、一般人からしても「肝パワーEプラス」が医薬品に該当するものと認識される、と捜査機関が判断したものと推察されます。

そして、医薬品に該当するとなってしまうと、未承認であれば、未承認医薬品の広告の罪が成立する、ということになるのです。

本罪の法定刑は、懲役2年以下もしくは罰金200万円以下、またはこれらの併科となっています。

体験談は捏造であると本物であるとを問いません。
結局は体験談もあいまって、一般人からして医薬品に該当すると認識されるかどうかがポイントになるのです。

本件事件は、この体験談の捏造を、販売会社の担当者と広告会社の社長が共謀して行ったということで、両者が逮捕されているようです。

今後、ますます薬機法違反の取り締まりは厳しくなることが推測されますので、販売会社も広告会社も十分注意するようお気をつけ下さい。

当協会では、広告会社の社員の方々に薬機法・医療法に関する60問の試験を受けていただき、合格すれば発行付与されるYMAAマーク(発行手数料5000円)と、
販売会社の商品に関する全てのURLを外部の弁護士が審査して認証するYBマークの発行付与を行っています。

この機会にぜひYMAAマークまたはYBマークの申請をご検討ください。

一般社団法人薬機法医療法規格協会
理事長(弁護士)寺垣俊介

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